2008年12月17日
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
「医師への謝礼は積極損害?」
質問:
Aさんは交通事故で脳挫傷・脊髄損傷の大怪我をさせられた被害者
ですが、悲しいことに事故の怪我が原因で植物状態となってしまい
ました。
Aさんが運ばれた救急病院では、植物状態になった患者を長期間入
院させる為の設備がありませんので、主治医や他の担当医にお願い
し入院先を探していました。
運良く入院先も決まり、救急病院から新しい病院に移る際Aさんの
家族は、お世話になった医師に対して謝礼金として200万円支払いま
したが、この費用を加害者の加入する任意保険会社に請求できるで
しょうか?
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回答: 判例によってまちまちですが、この場合は100万円認め
られています。
地方裁判所支払基準の「赤い本」では、「社会通念上相当なもので
あれば、独立の損害として認めることがある。なお、見舞い客に対
する接待費、快気祝い等は道義上の出費であるから認められない」
とし、「青い本」では「医師、看護士に対する謝礼については、
症状、治療内容などを考慮し、社会的に相当な範囲認められている」
としています。
※ 「赤い本」「青い本」については、ブログ記事「地方裁判所
支払い基準」http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-33.html
をご覧下さい。
現在、医師や看護士への謝礼は社会一般的に見ても慣例化している
と考えられており、実質的な治療費の一部と捉えています。
そのため、最近では社会通念上相当な額に限り独立する損害費目と
して認められています。
Aさんのケースでは、植物状態の患者の受け入れ先が少ない為、
救急病院の担当医師がただならぬ努力の末やっとのことで早期入院
先を確保してくれたことへの感謝であり、又受け入れ先病院側医師
の協力も必要であったことから、支出した医師謝礼金200万円のうち
100万円を認めました。
しかし、全ての判例が医師への謝礼金を認めているわけではありま
せんので注意が必要です。
大阪地裁の平成10年9月の判決では、医師への謝礼は認められません
でした。
その理由として、「医師への謝礼を認める場合は、適切な治療を受け
るための実質的な対価として支払う趣旨での謝礼金であり、適切な
治療を受けるために謝礼金を支払う必要があったと認めるに足りる
証拠がない場合、医師への謝礼金と事故との相当因果関係があると
は認められない」ということです。
裁判官によって考え方がかなり違いますので、困ったものです。
謝礼を払わないと適切な治療が受けられない証拠を出せといわれて
も、元々謝礼に関係なく医師は最善の治療をすることになっていま
すので、証拠の出しようがありません。
ここで考えました。
交通事故被害者になり、ブラックジャック先生でなければ治せない
ような怪我をした場合、保険会社は無免許の医師に治療代を払って
くれるのでしょうか?
高額な治療費(謝礼金と考えられる)は適切な治療を受けるために
必要であるから、先の裁判官は支払いを認めるのでしょうか?
何だか、頭の中がすずめの巣のようにこんがらがってきました(・_・;
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