2011年11月
2011年11月29日
事故解決はマニュアル選びが重要!「赤鬼の交通事故マニュアル無料ダウンロード」
本日は交通事故と労災の関係についてお話したいと思います。
ご相談者さんから、「事故から6ヵ月経ったけど通勤途中だったので労災の
届を出した方が良いのか?」「業務中の事故なのに社長から労災を使うなと
言われたのでどうしたらよいか?」などというご相談が結構あります。
どのような場合に労災が適用され、労災にするとどのようなメリットが
あるか、そのあたりをお話していきます。
労災は労災保険のことですが、正式名称は「労働者災害補償保険」です。
労働者災害補償保険法が定められていて、厚生労働省の職務として責任を
もって取り扱われています。
労働者災害補償保険法の目的は、以下の条文に記されています。
第1条 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者
の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、
必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、
又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族
の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の
増進に寄与することを目的とする。
要するに、一般に労働者と呼ばれる人が通勤途中や業務中に怪我したり
死亡した時に支払われる保険ですが、交通事故の被害者で労災が認定される
場合、「第三者行為災害」というものになります。
では、労災が適用になるとどのよな給付があるかというと、以下のような
給付があります。
■ 保険給付の種類
▲ 療養(補償)給付
・療養の給付
業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定
医療機関等で療養する場合
・療養の費用の支給
業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定
医療機関以外の医療機関等で療養する場合
▲ 休業(補償)給付
業務災害又は通勤災害による傷病に係る療養のため労働することができず、
賃金を受けられない日が4日以上に及ぶ場合
▲障害(補償)給付
・障害(補償)年金
業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第1級から
第7級までに該当する障害が残った場合
・障害(補償)一時金
業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第8級から
第14級までに該当する障害が残った場合
▲ 特別支給金
これは保険給付とは区別されていますが、給付されることに変わりは
ありません。
支給金には、休業特別支給金・障害特別支給金・障害特別年金・
障害特別一時金などがあります。
個々の詳しい給付内容に関してお話をすると、ただでさえ長めの赤鬼の
メルマガ4回分ぐらいになってしまいますので、本日は省略させていただき
後日改めてお話をさせていただきます。
本日は、交通事故でも労災が適用されることと、労災使用を拒否された
場合の対処法に重点をおかせていただきます。
通勤途中や業務中の交通事故で怪我をした場合は「第三者行為災害」と
して労災が認定されるということをお話しました。
労災に認定されると、先ほどご説明した給付金を受け取ることができるの
ですが、難しい言葉が多いので一般的に関連の深い部分を簡単にご説明します。
交通事故で労災認定された場合支払われる物は、治療費・休業損害・交通費
など、労災でなくても加害者から支払われるものに加えて、休業特別支給金
があります。
休業特別支給金の額は、1日につき給付基礎日額の20%ですが、このお金は
実際の休業損害とは別の扱いになっていることに注意が必要です。
ところで、先ほどから交通事故で労災が使えるということをお話していますが、
加害者もしくは加害者加入の保険会社(自賠責・任意)は支払いをしなくて
良いのかという疑問が出てきたのではありませんか?
もともとは加害者の不法行為による損害ですので、その損害を労災が支払う
義務も責任も全くありません。
ですので、交通事故の労災は一般の労災とは異なり「第三者行為災害」に
なるわけです。
この「第三者行為災害」は、交通事故に限らず被災害者が自らの不注意で
怪我をしたのではない場合、言い換えれば第三者(他人)の不法行為に
より怪我をさせられた場合に適用になります。
例えば、通勤途中に工事現場の資材が頭上に落ちてきて怪我をしたりした
場合です。
そのような場合、労災でいったんすべての費用を立て替えて支給をします
が、最終的には加害者に対してその費用(損害)を求償し回収します。
【参考】
労働者災害補償保険法第12条の4(第三者の行為による事故)
(1)
政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた
場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、
保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
此処で、先ほどの休業損害のお話に戻したいと思いますが、労災から60%の
休業損害を支給してもらい、残りの40%を加害者に補償してもらうと100%
の給与になります。
しかし、例え100%給与を保証してもらった場合でも先ほどの
「休業特別支給金」の20%を受け取ることができることをご存知で
しょうか。
これを知らないと、せっかくもらえるものがもらえなくなってしまいます。
合計では給与の120%になってしまうのですが、「休業特別支給金」は極端な
解釈をするとお見舞い金みたいなものですので受け取ることができます。
では、そのお金は労災の保険料の中から出ているのであれば、100%を超える
支給は加入者の保険金支払いの観点から不公平ではないかという疑問が生まれ
ますが、そうではありません。
「休業特別支給金」は、労災福祉事業の収益から支払われています。
労災福祉事業とは、災労働者の社会復帰の促進、被災労働者やその遺族の援護、
適正な労働条件の確保等を図ることにより労働者の福祉の増進を図ることを
目的としての社会復帰促進等事業のことです。
例えば、介護施設やリハビリテーションセンターなどの施設の運営に
なります。
次に、最初にご紹介した「社長が労災を使わせてくれない」という問題です。
社長が労災にしたくない理由は、「事業所で労災を使用すると、労災の保険料
が高くなる」という労災保険のメリット制に深い関係があります。
極端な言い方をしますと、労災を使用しない事業所の労災保険料は割引になる
とうもので、特例を含めめると最大45%ほど保険料が安くなります。
ですので、社長は労災保険料の支払いが増えることを考えると、社員に労災
を使用させたくないわけです。
※ 事業所の常時雇用人数や事業種類によってはメリット制が適応に
ならないこともあります。
しかし、被害者としては労災を使用したほうが色々な面で有利ですので、
過失がある場合や大きな怪我で長期間通院しなくてはならないような時
は、会社が何と言おうと労災にしたほうが良いと考えます。
「でも、会社が労災にしてくれなかったら仕方がない」などと思い込ま
ないでください。
労災の届は被害者自身で出来ます。
努めている会社を管轄する労働基準監督署に行ってください。
通勤中と業務中では提出書類が異なりますので、その区別をはっきりと
労基署の人に伝えた上で書類をもらい、必要事項を記載して届けてください。
※ 労基署に提出する書類の中の「療養給付たる療養の給付請求書」のみ
直接医療機関に持っていっても、労災扱いになります。
その他の書類は後日労基署に届けても結構です。
労災認定された場合、健康保険診療とは異なり治療費の負担はありません。
治療費はいったん労災が立て替えて任意保険会社(加害者側)に請求します
ので、一般の事故のように保険会社が直接医療機関に治療費を支払うことが
ないため、いわゆる「治療の打ち切り」の心配もありません。
また、休業損害も治療費と同じ様に労災から出ますので、ここでも任意保険
会社の払い渋りの心配をしなくて良いことになります。
まだまだメリットはありますが、長くなりますので今度機会がありました
ら、労災の特集をした際に詳しくお話しさせていただきます。
本日のまとめと
・交通事故で被害者の過失に関わらず通勤や業務中であれば必ず労災が
使用できる。
・労災では休業損害のほかに「休業特別支給金」というものがあり、休業損害
額が全額支払われた場合でも算出基礎額の20%を受け取ることができる。
・社長や会社で労災にしないと言っても本人が労基署及び病院で手続きして
しまうことができる。
以上のことをお話しました。
会社の担当者が必ずしも正しいことを言っているとは限りません。
会社の利益のために労災を使用させないようにすることもありますし、
「休業特別支給金」をどうにかしてしまうこともないとも限りません。
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