交通事故被害者が知らないと損する、交通事故損害賠償「裏常識」 物損事故からムチ打ち被害者後遺症まで、知ってて得する知識です。あまり知られてない損害賠償の裏側と損しない損害賠償請求を解説します。

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2010年04月

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2010年04月28日

■「被害を車に乗せたまま救助すべし」


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「被害を車に乗せたまま救助すべし」
 


問題:


Aさんは年末年始の休暇を田園風景の故郷で過ごしていました。



あまり広くない農道を走行中タバコが吸いたくなり、助手席の上に置いて

あるタバコを取ろうとほんのわずか前方から目をそらせた瞬間ハンドルを

動かしてしまい、たまたま通りかかった対向車と接触してしまいました。



対向車がくることは分かっていましたが、車がすれ違うには問題ない道幅で

したので、まさかこんな事になるとは思っていませでした。



対向車は田んぼ道の側溝に半分落ち、対向車に乗っていた2人は怪我をして

しまいました。



田舎のことですので、近所の人が出てきて車を側溝から出す為に色々な道具を

家から持ち寄って手伝ってくれ、無事に車を道に戻すことができました。



Aさんは、近所の人に後日手伝ってもらったお礼としてお酒とお菓子を

配りました。



その後、Aさんは任意保険に加入していませんでしたので、Aさんが

立て替えていた被害者の治療費を自賠責保険に対し加害者請求した際、

近所の人に手伝ってもらったお礼として配った物品代を自動車引き上げの

レッカー代だとして一緒に請求しました。



人身傷害のみを補填する自賠責保険にレッカー代としての物品代を支払って

もらうことができるでしょうか。


 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【正 解】  


        
答:  状況次第では支払ってもらえます



自賠責保険は人身傷害のみ補償する保険ですので、レッカー費用は物損扱い

のため、自賠責保険から支払われることはありません。



しかし、被害者を車に乗せたまま車を移動させた場合は、救助費用という

項目で自賠責保険から支払われます。



Aさんが近所の人に配ったお礼に関しても、救助捜索協力費の項目で

支払われますので、レッカー代として請求しなくても支払われることに

なります。



ただ、いくら救助費といっても、かすり傷の被害者では救助に該当するか

という問題にもなりますので、請求する際は社会通念上妥当と思われる状況

でご請求下さい。


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2010年04月20日

■「非該当でも後遺障害慰謝料がもらえる!?」


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          「非該当でも後遺障害慰謝料がもらえる!?」 



問題:

今年24歳になる花子さんは、猛スピードで走ってきた脇見運転の車に衝突され、

加害者のフロントガラスに頭から突っ込んでしまいました。



その際、頬に深い傷を負ってしまいました。



事故から6ヶ月が経過したため、顔面の醜状痕に対して後遺障害の認定申請を

しましたが、傷はほほの深部まで達してはいるものの、線状痕の長さは2.9cmで

したので、非該当になってしまいました。


※ 線状痕は3cm以上で12級-15号「女子の外貌に醜状を残すもの 」に該当



しかし、傷がほほの中央でしかも深部に達していることにより、口を開いて

笑った場合にその部分が陥没することから、見た目に大変醜いとして異議申立

をしまいたが、やはり非該当でした。



2.9cmと3.0cmでは1mmの差しかありませんので、花子さんは納得できずに

裁判をすることにしました。



果たして裁判ではこの傷を後遺障害として認め、花子さんは後遺障害慰謝料を

受け取ることが出来るでしょうか?


  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【正 解】  


        
答:  後遺障害慰謝料として支払ってもらえます



自賠責保険では非該当になった後遺障害に関しても、訴訟をすることで

後遺障害相当として認められれば、慰謝料を受取ることがことが可能です。



被害者は、醜状による心理的負担から自己退職しているが、決断したのは

本人であるため休業損害及び逸失利益に関しては否定されました。



しかし、被害者が24歳の女性であり、頬中央の傷痕ならびに口を開いて笑った

際の陥没に関しては、傷の大きさ以上に醜いと誰でもが認めうるものである

とし、傷害・後遺障害慰謝料として520万円を認めています。



この裁判において、自賠責が非該当とした後遺障害に関しての障害等級は

提示されませんでしたが、傷害・後遺障害慰謝料としての損害を認めています。



このように、たとえ自賠責で非該当になったとしても、花子さんのように

諦めず訴訟で戦うことにより、520万円という損害賠償が実現できます。



障害の内容によっては訴訟とい選択肢があることを覚えておかれてはと

思います。



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2010年04月03日

■ムチ打ち症とPTSD

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■ ムチ打ち症とPTSD



自賠責調査事務における後遺障害認定実務では、PTSDは頚椎捻挫いわゆる

ムチ打ち症の後遺障害等級の14級-9号の扱いになっています。



しかし、PTSDの国際的な診断基準によりPTSDと認められる精神障害は

「日常生活ができない程度」とされ、その厳しいPTSDの認定基準に比べ

ると、後遺障害等級があまりにも低すぎます。



では、何故PTSDのような重い精神障害を自賠責調査事務所が平然と14級に

してしまうかということです。



その大きな理由が、ムチ打ち症の後遺障害認定でよくお話している「他覚所見」

の有無に関係があります。



自賠責の後遺障害認定基準は労災の基準を使用するとしています。



しかし、実際の自賠責調査事務所で行われる認定実務においては、等級を低く

抑えるために労災基準の都合のよい部分を上手に組み合わせて使用しています。



そのような理由から、同じ後遺障害診断書を提出した場合、自賠責の認定等級

より労災の認定等級の方が高いという話をよく耳にすることになります。



■ 自賠責がPTSDを後遺障害14級とする根拠



自賠責における後遺障害認定基準は労災に準拠していますが、実務上「怪我」

は「器質的損傷が存在する」という前提で扱われています。



言い換えれば、骨、筋肉、靭帯、神経、内臓などの人体を構成する器官に

何らかの器質的損傷があり、画像等の他覚所見が存在することが前提という

ことになります。



しかし、PTSDに関しては非器質的精神障害ですので、画像や検査等で

所見が出る事はありません。



そこで、自賠責ではPTSDに関して他覚所見に乏しい神経症状として、

「局部に神経症状を残すもの」14級-9号が妥当との判断をしています。



ムチ打ち症の後遺障害認定に関しても、他覚所見に乏しいものに関しては、

やはりこの14級-9号が認定されています。



■ 労災におけるPTSDの後遺障害等級



自賠責があくまで他覚所見を重視しているのに対し、労災では生活状況や

就労への支障等を勘案して等級認定をする為、自賠責の認定等級より高い

等級が認定される傾向です。




労災における精神障害に関する後遺障害認定基準は次のようになっています。




▲ 14級  

労働には通常差し支えないが、医学的に可能な精神の障害に係る所見が

あると認められるもの


※「職種制限は認められないが、就労当たり多少の配慮が必要であるもの」



▲ 12級  

労働には通常差し支えないが、医学的に証明しうる精神の障害を残すもの


※「職種制限は認められないが、就労に当たりかなりの配慮が必要であるもの



▲ 9級  

精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの


※「対人業務につけないもの」



▲7級  

精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの


※ 「ほとんどの通常業務につけないもの」




★ 労災基準とPTSDの認定基準を比べてみる



では、今度はPTSDの認定に関する事項のうち、外観や問診から分かる

事項を次に示します。




1.入眠、または睡眠維持の困難

2.いらだたしさまたは怒りの爆発

3.集中困難

4.過度の警戒心

5.過剰な驚愕反応




1.外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力

2.外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力

3.外傷の重要な側面の想起不能

4.重要な活動への関心または参加の著しい減退

5.他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚

6.感情の範囲の縮小(例:愛の感情を持つことができない)

7.未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)




■ 労災におけるPTSDの後遺障害等級は7~9級



これらの労災のの認定基準とPTSDの認定基準を総合的に照らし合わせて

みると、やはり7級又は9級の認定が妥当と考えられます。



実際の労災におけるPTSDの後遺障害認定では、非器質性精神後遺障害

に関する基準がきちんと設けられていますので、国際基準でPTSDが認定

されている場合、労災においても後遺障害として認定され、生活への支障の

程度により7級から12級の範囲の等級になります。



しかし、自賠責では他覚所見の無い後遺障害には高等級を認定すること

はなく、頚椎捻挫の等級認定を同じくできるだけ低い等級を認定しようと

しています。



その結果、生活や就労にかなりの支障をきたしている場合、訴訟により

正当な後遺障害等級を確定させ、認定等級に応じた損害賠償を請求する

以外にありません。



このようなことから、自賠責におけるムチ打ち症の後遺障害認定とPTSDの

後遺障害は、他覚所見を重視するという観点から酷似しています。



目に見えない、言い換えれば被害者の訴えのみで客観的な所見のないもの

を後遺障害として認めた場合、極論では「詐病」に関しても損害賠償が可能

になるということになりますので、なかなか難しい部分でもあります。



ただ、PTSDのように「心の傷」を負い社会に復帰できなくなってしまった

被害者に対しては、現在自賠責が主張する医学的知見のない時代遅れとも

いえる後遺障害等級表をそのまま使用していたのでは、適正な損害賠償は

出来ないのではと思います。



【まとめ】


PTSDはマスコミにより広く知られるようになってきましたが、その病態や

回復の可能性、PTSD確定診断の正確性、被害者本人に与えるマイナス影響

の程度の把握などは、いまだに未解明な部分が多々あります。



単に外傷性の精神障害を大げさにPTSDとして損害賠償請求するような

混乱がなくなるよう、精神神経科医師の診断の正確さの向上のみに頼るのでは

なく、法律家や保険会社を含めた何らかの検討委員会を設置し、PTSDの

損害評価の適正な指針と運用を話し合っていく必要があると思っています。



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赤川 静雄(赤鬼)

Author:赤川 静雄(赤鬼)
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