2010年03月
2010年03月24日
事故解決はマニュアル選びが重要!「無料交通事故マニュアル比較ナビ」
「被害者の墓碑費用を払って!?」
問題:
Aさんの奥さんは、交通事故の被害者になり死亡してしまいました。
当然Aさんは、お葬式とお墓を立てなくてはいけません。
そこで、Aさんは加害者加入の保険会社に葬式代、墓地権利金、墓碑代として
400万円を請求しましたが、保険会社は葬式代の限度額150万円までしか支払わ
ないと回答してきました。
保険会社の支払わない理由としては、墓地及び墓碑は葬式費用になるため
葬式代と合計して150万円しか支払う義務がないとのことです。
この回答を不服としたAさんは、裁判をすることにしましたが、果たして
Aさんは墓地権利金と墓碑代を払ってもらえるでしょうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【正 解】
答: 支払ってもらえます。
最高裁は、墓碑建設や仏壇購入費について、葬儀関係費用とは別に
認めています。
判例をいくつか挙げておきますね。
▲ 高松地裁(昭和62年)
葬儀費用50万円、仏壇購入費67万円、墓碑購入費106万
合計223万円
▲ 京都地裁(昭和63年)
葬儀費用62万6600円、葬儀祭壇費用85万円、仏壇仏具代25万5000円
合計 203万1600円
▲ 横浜地裁(平成元年)
葬儀費100万円、仏壇費16万7000円、墓地権利金等52万8000円、
墓地工事代267万円 合計436万5000円
まだまだ判例はありますが、墓の費用だけではなく「百か日法要費」や
遺体運搬費を認めた判決もあります。
このように、被害者が死亡した場合の損害賠償の請求に関しては、
遺族が直接保険会社と交渉することは避け、弁護士により訴訟で
解決することが必須になります。
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事故解決はマニュアル選びが重要!「無料交通事故マニュアル比較ナビ」
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2010年03月09日
事故解決はマニュアル選びが重要!「無料交通事故マニュアル比較ナビ」
本日もPTSDに関してになりますが、何故PTSDに関して記事にしているか
というと、次のような理由からです。
最近、多くの交通事故被害者がマスコミ報道により広く認知されるように
なったPTSDと一般の精神障害の区別ができないため、専門外の医師により
安易にPTSDと診断されたことから、PTSDでの後遺障害申請をする結果、
非該当になる事例が増えてきているからです。
交通事故により外傷性の精神障害になることは珍しいことではありませんので、
外傷性の精神障害として後遺障害を申請していれば認定されるような事例で、
あえてPTSDとして申請した結果、非該当になってしまうことのないよう、
PTSDという精神障害について正しい知識を知っていただきたいと思います。
■ PTSDを後遺障害と認める判決とは
前回は、交通事故受傷による後遺障害としてのPTSD及び他の精神疾患に
ついてでした。
PTSDと混同されやすい他の精神疾患についお話しましたが、自賠責調査事務所
での後遺障害認定が基本的にPTSDも他の精神疾患と同じ扱いの14級であること
から、後遺障害の14級認定を不服として訴訟になる場合が多々あります。
そこで、PTSDの後遺障害認定に関する訴訟の問題点について考えて見たい
と思います。
▲ 裁判の争点
PTSDを後遺障害とするか否かの裁判においての争点は、先ず病態がPTSDで
あるかどうかという点と、PTSDであるとすると後遺障害等級は何等級が妥当で
あるかということです。
今回は、2つある争点の中で前者のPTSDと認めるか認めないかということに
ついてお話します。
長くなるようでしたら、何回かに分けてお話ししますので、しばらく
お付き合いください。
前回お話したPTSDの判定基準である、DSM-4やICD-10の診断基準を満たした
ことで、7~9級が認定されているものではなく、PTSDを認めた中で特殊な
判例がありますのでご紹介します。
◆ 横浜地裁の判決
被害者が交通事故により腰椎脱臼骨折などの障害を負った為、10回入退院を
繰り返した後5年半後に症状固定する。
被害者は、事故後結婚し子供が生まれたものの、その結婚直後に実兄が病死し
夫も子供の誕生後2年経たないうちに病死します。
その後も被害者は、腰痛等の影響により不自由な生活を余儀なくされて
いましたが、さらに実父が家出し所在不明となったことで、実母と子のみが
残されたため精神に異常(自殺企画・自傷行為・不眠・徘徊)をきたし、
簡単な家事以外の労働に服することができない状態となり認定されています。
◆ 大阪地裁の判決
被害者が生後10ヶ月の息子を抱いて後部座席に搭乗中に事故に遭遇し、
息子が事故から2日後に死亡した際、意識を回復していた被害者本人は、
息子の最後を目前でみとっている。
被害者は、息子の死亡直後から強い抑鬱状態になり「フラッシュバック」
症状が出現したため、夫とも離婚している。
その後も、意識が飛ぶ「解離症状」や意欲低下、フラッシュバック、
外出不能状態が継続し、さらに事故後1年6ヶ月が経過した時点で器質的原因が
認められないにも関わらず「臭覚脱出」いわゆる臭いが判別できない状態に
なってしまう。
それらの結果、被害者は軽微な労務や日常生活をかろうじて送ることが
精一杯な状態な継続していることから認定されています。
◆ PTSDの認定判決が疑問視される
横浜地裁の判決では、交通事故による恐怖体験によると考えるよりも、
事故後の著しい環境の変化によりPTSDが発症したと考えられます。
この被害者の症状は、事故後の実兄や夫の相次ぐ死亡や実不の失踪などの
悲惨な環境要因に起因するものと思われます。
そのようなことから、この被害者のPTSDが果たして明らかに事故を起因性と
するPTSDの認定判決が疑問視されています。
又、大阪地裁の判決では、中立的な鑑定診察を経ないまま診断医の見解を
採用してPTSDと認定したことは、客観的に把握し難い外傷起因性外傷疾患を
安易に認める方向になり、二次的疾病利得を増長させる危険があるとの指摘を
受けています。
PTSDは、ある意味他覚所見に乏しい「ムチ打ち症」の後遺障害の認定に
共通する部分があります。
目に見えない障害に対する後遺障害認定ですので、同じ症状であっても
主治医の見解によっては後遺障害に認定されたりされなかったりすると
いうことです。
さらに、PTSDの場合は「二次的疾病利得を増長させる危険」と指摘されて
いるように、事故後に事故とは無関係な要因によりさらに障害が大きく
なった場合、事故と無関係な要因の部分も交通事故の損害賠償に含まれて
しまい、慰謝料や逸失利益が増大するといった問題が生じます。
そこのようなことから、PTSDの認定に関しては、その判断基準はPTSDを専門に
研究している臨床経験豊かな精神科医によってPTSDと診断されているかどうか、
裁判においても検証する必要があるという意見が多く出されています。
次回は、PTSDを否定された例を取り上げることで、PTSDと外傷性精神障害の
区別をはっきりさせていきたいと思います。
又、自賠責保険では14級として扱っているPTSDが、本来は何等級に扱われる
べきであるかということについてもお話します。
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