2009年03月
2009年03月29日
「追突されるあなたが悪い!?」
問題:
その日、木下さんは隣の町にある総合病院でMRI撮影予約をしてい
ましたが、高速道路でいかなくてはならないのでエンジンオイル
の量が心配になり、自宅を出発する前にボンネットを開けて調べる
ことにしました。
木下さんの心配は取り越し苦労で、オイルはたっぷり入っていまし
たが、気がついたら出発予定時間を大分過ぎていました。
手洗いもそこそこに隣町の病院に向け走り出しました。
高速道路に入り、遅れた時間を取り戻そうと一気に加速しましたが、
その瞬間ボンネットが跳ね上がって前が全く見えなくなってしまい
ました。
追い越し車線を走行していた木下さんは、ビックリしてハザードラ
ンプを点灯し追い越し車線上に止まってしまいました。
多くの車は木下さんの車をよけ左側の走行車線を通り過ぎていきま
したが、停車から2分程度たった時いきなり大きな音と衝撃が木下
さんを襲いました。
停車中の木下さんの車は追突されてしまったのです。
追突した加害者は木下さんに対し、追い越し車線に止まっていたの
が悪いとして、木下さんに80%の過失があると主張しました。
果たしてこのような場合、過失割合はどうなるのでしょう。
木下さんは、あくまでも止まっている車に追突した加害者が
悪いと思っていますので、過失を認めるつもりはありません。
果たして木下さんの主張は認められるでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
答: (参考:名古屋地裁判決)
木下さんが一般道に停車していたのであれば、この主張は通りまし
たが、今回の場合は高速道路に停車していた為、木下さんは65%の
過失を取られてしまいました。
高速道路は、道交法により他の自動車の円滑な走行を阻害しないよ
う駐停車禁止になっています。
例外として走行中の故障等の場合は駐停車ができますが、その場合
でも後続車の衝突を避ける為三角表示板や発炎筒、閃光灯などの
使用が義務付けられています。
木下さんの場合、路肩ではなく追い越し車線に停車していたにも関
わらず、単にハザードランプのみの点灯で、後続車の衝突を回避す
る措置を取っていなかったため、65%の過失相殺をされてしまいま
した。
止まっていたからといって、何でもかんでも衝突した加害車輌が悪
いとする考え方は問題です。
事故解決はマニュアル選びが重要!無料 「交通事故マニュアル比較ナビ」
問題:
その日、木下さんは隣の町にある総合病院でMRI撮影予約をしてい
ましたが、高速道路でいかなくてはならないのでエンジンオイル
の量が心配になり、自宅を出発する前にボンネットを開けて調べる
ことにしました。
木下さんの心配は取り越し苦労で、オイルはたっぷり入っていまし
たが、気がついたら出発予定時間を大分過ぎていました。
手洗いもそこそこに隣町の病院に向け走り出しました。
高速道路に入り、遅れた時間を取り戻そうと一気に加速しましたが、
その瞬間ボンネットが跳ね上がって前が全く見えなくなってしまい
ました。
追い越し車線を走行していた木下さんは、ビックリしてハザードラ
ンプを点灯し追い越し車線上に止まってしまいました。
多くの車は木下さんの車をよけ左側の走行車線を通り過ぎていきま
したが、停車から2分程度たった時いきなり大きな音と衝撃が木下
さんを襲いました。
停車中の木下さんの車は追突されてしまったのです。
追突した加害者は木下さんに対し、追い越し車線に止まっていたの
が悪いとして、木下さんに80%の過失があると主張しました。
果たしてこのような場合、過失割合はどうなるのでしょう。
木下さんは、あくまでも止まっている車に追突した加害者が
悪いと思っていますので、過失を認めるつもりはありません。
果たして木下さんの主張は認められるでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
答: (参考:名古屋地裁判決)
木下さんが一般道に停車していたのであれば、この主張は通りまし
たが、今回の場合は高速道路に停車していた為、木下さんは65%の
過失を取られてしまいました。
高速道路は、道交法により他の自動車の円滑な走行を阻害しないよ
う駐停車禁止になっています。
例外として走行中の故障等の場合は駐停車ができますが、その場合
でも後続車の衝突を避ける為三角表示板や発炎筒、閃光灯などの
使用が義務付けられています。
木下さんの場合、路肩ではなく追い越し車線に停車していたにも関
わらず、単にハザードランプのみの点灯で、後続車の衝突を回避す
る措置を取っていなかったため、65%の過失相殺をされてしまいま
した。
止まっていたからといって、何でもかんでも衝突した加害車輌が悪
いとする考え方は問題です。
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2009年03月23日
■ 検証 自賠責保険と任意保険の関係
「120万円の魔法 前編」
前回は自賠責保険と任意保険の関係をお話しましたが、120万円の
意味はお分かりになりましたでしょうか。
今回は、何故120万円が払い渋りの温床になっているかというお話です。
自賠責保険人身傷害限度額の120万円には、治療費、通院交通費は
もちろんのこと傷害慰謝料(入通院慰謝料)休業損害まで含んでい
ますので、任意保険会社としては全ての損害を自賠責の限度額であ
る120万円以内に抑えてしまえば、1円の出費もありません。
ですから、任意保険会社はこの120万円という数字に非常に敏感で
常にチェックをしています。
どのようなチェックかというと、先ず一番最初に治療費を医療機関
から毎月送られてくるレセプト(診療報酬明細書)により確認して
います。
概ね120万円以内で解決するであろう軽症案件では、任意保険会社
は黙って自由診療を認めていますが、治療費だけで120万円を超え
ることが予想される場合は最初から健康保険の使用の話を持ちか
けます。
※自由診療と健康保険診療の違いについては、ブログ記事の
「自由診療と健康保険診療」をご覧下さい。
http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-21.html
赤鬼のところに来るメール相談で「6ヶ月経つと治療を打ち切られ
るって本当ですか?」「事故から3ヶ月経ちますが、いつ治療を打
ち切られるか心配です。どうすればいいでしょう?」という内容が
非常に多くなっています。
そもそも保険会社には治療を打ち切る法的権限はありません。
理由は簡単です。
よく考えてみてください。
何故医師でもない人間が医療の中止を命令できますか?
例え医師だとしても、患者を診察もせずに治療を終了させることは
医師法違反ですので、そのようなことができますか?
では、保険会社が「そろそろ当社の規定により治療を中止させて
いただきます」と平気でいうかということですが、これは一種の
脅しあるいは威圧です。
交通事故などにこれまで遭ったことのない何も知らない被害者に対
して、このようないい方をすればほとんどの無知な被害者はおとな
しく治療を諦めることを、保険会社は長年の経験から知っています。
一時代前にはヤクザまがいの脅し文句で被害者を丸め込んでしまう
保険会社の社員や外注のアジャスターが存在しましたが、現在のよ
うに保険会社の悪事が公になり、コンプライアンス重視と謳う保険
会社はさすがに堂々とそのようなことはしなくなりました。
しかし、赤鬼の相談者の中にはまだまだ保険会社により酷い扱いを
されている方もいらっしゃいますので、全力でサポートしています。
話を戻しますが、保険会社から「そろそろ治療を打ち切らせていた
だきます」と言われたら、「治療を打ち切る法的な根拠を文書でご
回答下さい」とお願いしてみてください。
回答書に「打ち切り」という言葉は絶対に入っていません。
あれだけ電話等で強く「打ち切ります!」といっていた保険会社の
担当者は、文書になった途端おとなしく対応するようになります。
文書で「打ち切り」などと書いてしまったら証拠が残り大変なこと
になってしまいます。
ではどの様に回答するかという事ですが、普通は「治療費お支払い
を保留させていただきます」と書いてきます。
理由も「これは法的なものではなく、あくまで当社の基準によりご
判断させていただきました」とトーンダウンしてきます。
このような事実を理解していない被害者の中には、「保険会社に治
療を打ち切られたら大変だ。今後の治療費をどうしよう」などと考
え常におびえている方がいらっしゃいます。
ですから、赤鬼が日ごろから申し上げておりますように、知識は
被害者の最大の防御であり武器であるということです。
たとえ治療費支払いを保留されてしまっても、健康保険を使用して
立替払いをし、示談の際に精算が可能であるということを覚えてお
かれて下さい。
又、時期が時期ですのでと主張してくる保険会社に対しては、治療
の根拠を医学的に立証して治療の継続を正当化し、治療費の支払い
を強く主張してください。
ご自分の体ですので、このような場合はしっかりと行動することを
お勧めします。
では、何故治療の打ち切りに関してこのように詳しくお話をしてい
るのかと申しますと、保険会社がこの話をしてくる時期と120万円に
深い関係があるからです。
治療を継続している場合、保険会社は示談の際に支払わなくてはな
らない休業損害等も予め計算をしていますので、治療費、交通費、
休業損害を合計した今後支払うであろう金額が120万円に近づいた
時、被害者には早急に治療を終了し示談をして欲しいことはご理解
いただけると思います。
そのための「治療打ち切り攻撃」が開始されるわけです。
任意保険会社の支出を0円に抑えることが、保険会社社員の成績に
大きく影響しますので、この治療打ち切り攻撃は凄まじいもになる
場合もあります。
ただ、中には出世には興味がない担当者もいます。
そのような担当者に当たればラッキーで、ずるずると何ヶ月でも
治療を継続できますが、最終的に担当者が無能の振りをし、わざと
弁護士対応にしてしまう場合も多々あります。
いずれにしても、自賠責の人身傷害部分の限度額120万円を境に
任意保険会社の対応が大きく違ってくることは確かです。
「治るまで治療をして下さいね」と優しくいっていた任意保険会社
の担当者は120万円を境に「いつまで治療をしているのですか?
もう治ったでしょ?」と恐い顔で示談を迫ってくることになります。
この辺りの事情を理解していれば、何を言われても恐くなと思いま
すし、治療が長引きそうだと感じたら健康保険を使用し治療費を抑
えておけば、治療打ち切り攻撃の開始時期を遅らせることも可能です。
被害者もただ被害者だといって受身の姿勢で行動するのではなく、
知識を身に付け自分から行動し問題を打破する心構えが重要です。
ここで1つ注意していただきたいのですが、例外として120万円に
関係なく早急に治療を終了させ示談を迫る会社も現に存在してい
ますので、その場合は担当者の言葉を録音し、できれば全てのやり
取りは文書で交わすことをお勧めします。
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「120万円の魔法 前編」
前回は自賠責保険と任意保険の関係をお話しましたが、120万円の
意味はお分かりになりましたでしょうか。
今回は、何故120万円が払い渋りの温床になっているかというお話です。
自賠責保険人身傷害限度額の120万円には、治療費、通院交通費は
もちろんのこと傷害慰謝料(入通院慰謝料)休業損害まで含んでい
ますので、任意保険会社としては全ての損害を自賠責の限度額であ
る120万円以内に抑えてしまえば、1円の出費もありません。
ですから、任意保険会社はこの120万円という数字に非常に敏感で
常にチェックをしています。
どのようなチェックかというと、先ず一番最初に治療費を医療機関
から毎月送られてくるレセプト(診療報酬明細書)により確認して
います。
概ね120万円以内で解決するであろう軽症案件では、任意保険会社
は黙って自由診療を認めていますが、治療費だけで120万円を超え
ることが予想される場合は最初から健康保険の使用の話を持ちか
けます。
※自由診療と健康保険診療の違いについては、ブログ記事の
「自由診療と健康保険診療」をご覧下さい。
http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-21.html
赤鬼のところに来るメール相談で「6ヶ月経つと治療を打ち切られ
るって本当ですか?」「事故から3ヶ月経ちますが、いつ治療を打
ち切られるか心配です。どうすればいいでしょう?」という内容が
非常に多くなっています。
そもそも保険会社には治療を打ち切る法的権限はありません。
理由は簡単です。
よく考えてみてください。
何故医師でもない人間が医療の中止を命令できますか?
例え医師だとしても、患者を診察もせずに治療を終了させることは
医師法違反ですので、そのようなことができますか?
では、保険会社が「そろそろ当社の規定により治療を中止させて
いただきます」と平気でいうかということですが、これは一種の
脅しあるいは威圧です。
交通事故などにこれまで遭ったことのない何も知らない被害者に対
して、このようないい方をすればほとんどの無知な被害者はおとな
しく治療を諦めることを、保険会社は長年の経験から知っています。
一時代前にはヤクザまがいの脅し文句で被害者を丸め込んでしまう
保険会社の社員や外注のアジャスターが存在しましたが、現在のよ
うに保険会社の悪事が公になり、コンプライアンス重視と謳う保険
会社はさすがに堂々とそのようなことはしなくなりました。
しかし、赤鬼の相談者の中にはまだまだ保険会社により酷い扱いを
されている方もいらっしゃいますので、全力でサポートしています。
話を戻しますが、保険会社から「そろそろ治療を打ち切らせていた
だきます」と言われたら、「治療を打ち切る法的な根拠を文書でご
回答下さい」とお願いしてみてください。
回答書に「打ち切り」という言葉は絶対に入っていません。
あれだけ電話等で強く「打ち切ります!」といっていた保険会社の
担当者は、文書になった途端おとなしく対応するようになります。
文書で「打ち切り」などと書いてしまったら証拠が残り大変なこと
になってしまいます。
ではどの様に回答するかという事ですが、普通は「治療費お支払い
を保留させていただきます」と書いてきます。
理由も「これは法的なものではなく、あくまで当社の基準によりご
判断させていただきました」とトーンダウンしてきます。
このような事実を理解していない被害者の中には、「保険会社に治
療を打ち切られたら大変だ。今後の治療費をどうしよう」などと考
え常におびえている方がいらっしゃいます。
ですから、赤鬼が日ごろから申し上げておりますように、知識は
被害者の最大の防御であり武器であるということです。
たとえ治療費支払いを保留されてしまっても、健康保険を使用して
立替払いをし、示談の際に精算が可能であるということを覚えてお
かれて下さい。
又、時期が時期ですのでと主張してくる保険会社に対しては、治療
の根拠を医学的に立証して治療の継続を正当化し、治療費の支払い
を強く主張してください。
ご自分の体ですので、このような場合はしっかりと行動することを
お勧めします。
では、何故治療の打ち切りに関してこのように詳しくお話をしてい
るのかと申しますと、保険会社がこの話をしてくる時期と120万円に
深い関係があるからです。
治療を継続している場合、保険会社は示談の際に支払わなくてはな
らない休業損害等も予め計算をしていますので、治療費、交通費、
休業損害を合計した今後支払うであろう金額が120万円に近づいた
時、被害者には早急に治療を終了し示談をして欲しいことはご理解
いただけると思います。
そのための「治療打ち切り攻撃」が開始されるわけです。
任意保険会社の支出を0円に抑えることが、保険会社社員の成績に
大きく影響しますので、この治療打ち切り攻撃は凄まじいもになる
場合もあります。
ただ、中には出世には興味がない担当者もいます。
そのような担当者に当たればラッキーで、ずるずると何ヶ月でも
治療を継続できますが、最終的に担当者が無能の振りをし、わざと
弁護士対応にしてしまう場合も多々あります。
いずれにしても、自賠責の人身傷害部分の限度額120万円を境に
任意保険会社の対応が大きく違ってくることは確かです。
「治るまで治療をして下さいね」と優しくいっていた任意保険会社
の担当者は120万円を境に「いつまで治療をしているのですか?
もう治ったでしょ?」と恐い顔で示談を迫ってくることになります。
この辺りの事情を理解していれば、何を言われても恐くなと思いま
すし、治療が長引きそうだと感じたら健康保険を使用し治療費を抑
えておけば、治療打ち切り攻撃の開始時期を遅らせることも可能です。
被害者もただ被害者だといって受身の姿勢で行動するのではなく、
知識を身に付け自分から行動し問題を打破する心構えが重要です。
ここで1つ注意していただきたいのですが、例外として120万円に
関係なく早急に治療を終了させ示談を迫る会社も現に存在してい
ますので、その場合は担当者の言葉を録音し、できれば全てのやり
取りは文書で交わすことをお勧めします。
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
2009年03月13日
「盗まれた車の事故は持ち主が賠償する!?」
問題:
その日松本さんは、自家用車で会社から帰る途中タバコを買う為に
コンビニに立ち寄りました。
今までは会社の自動販売機で購入していたのですが、社内禁煙に伴い
昨日タバコの自動販売機が撤去されてしまいましたので、仕方なく
コンビニで購入することにしました。
チョットタバコを買うだけだし、外はまだ暑いのでクラーは止めたく
ないしと、松本さんはエンジンをかけたままドアに施錠もせず駐車場
に車を放置してタバコを買いに行ってしまいました。
ところが、松本さんが駐車場に戻ってみると車がありません。
そうです。
エンジンをかけっぱなしにした車は盗まれてしまい、運の悪いこ
とに泥棒運転者は当て逃げとひき逃げをして逮捕されてしまいま
した。
ひき逃げされた人は重症で、加害者に資力がないため、車の所有者
である松本さんに損害賠償を請求してきましたが、松本さんは自分
が起こした事故ではないので関係ないから払う必要がないと主張し
ました。
又、当て逃げされた人からも車の修理代の請求書が届きましたが、
松本さんは払うつもりはありませんと連絡しています。
果たして、松本さんは本当にこれらの損害賠償を支払う義務はない
のでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
答:
残念ながら、片方の被害者にだけ松本さんは賠償責任が生じてしま
います。
片方というのは、人身事故の賠償責任です。
普通に考えると、盗んだ人間が起こした事故の損害賠償を支払う
義務はないように思いがちですが、人身事故の場合は被害者保護の
観点から、エンジンキーをつけたまま放置した車の保有者の責任は
重くなっています。
人身事故の場合、盗難車の保有者は車の管理が不十分であるとして
損害賠償を負わされます。
しかし、当て逃げされた車輌の修理代を支払う義務はありません。
理由としては、自動車の保管が不十分なことと事故を起こしたこと
の相当因果関係がないとされるからです。
不思議ですね。
人をはねると責任があり、物を壊しても関係ない。
これも、全て被害者救済の考えかたからきていますので、赤鬼は
納得していますが、実際に当事者となった時は微妙です。
余談ですが、松本さんがエンジンキー付けたままでも賠償責任を免
れる場合があります。
それは、室内の駐車場や自宅の敷地内で囲いのある駐車場に駐車し
、容易に車を外に出せる状況ではない場合、エンジンキーを付け
ドアに施錠しなくても、泥棒が侵入し車を盗んで事故を起こした
場合、保有者の賠償責任は生じません。
しっかりと家の中に駐車ておいた車が盗まれることまでは想定でき
ない、いわゆる「想定外」ということです。
でも、松本さんがタバコを吸わなければ、このようなトラブルに巻
き込まれることはなかったんですよね(^_^)
事故解決はマニュアル選びが重要!無料 「交通事故マニュアル比較ナビ」
2009年03月06日
■ 検証 自賠責保険と任意保険の関係 その1
自賠責保険は、自動車を運行する場合に必ず加入しなくてはいけな
い強制的な保険ですが、案外その役割、任意保険との関係、補償内
容についてはあまり知られていません。
一方の任意保険については、加入される方への補償内容や免責事項
についての情報開示がきちんとなされていますので、比較的分りや
すい物になっています。
自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といい、普通
は「自賠責」と略されています。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(昭和三十年七月二十九日
法律第九十七号)によって定められている保険です。
自動車損害賠償保障法の目的は、第一章第一条に以下のように記さ
れています。
★ 自動車損害賠償保障法
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が
害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することによ
り、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資す
ることを目的とする。
さらに、自動車損害賠償責任保険については以下のように定められ
ています。
第三章 自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済
第一節 自動車損害賠償責任保険契約又は自動車損害賠償責任
共済契約の締結強制
(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)
第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害
賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償
責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されている
ものでなければ、運行の用に供してはならない。
■ 自賠責保険ができた理由
何故このような法律や制度ができたのか、その理由を簡単にお話し
ます。
戦後、日本の高度成長期における自動車台数の増加は凄まく、それ
に伴う交通事故件数も車の台数増加に比例して増え続けました。
しかし、当時は未だ自動車保険に加入するという考え方があまり
普及しておらず、自動車損害賠償保険に加入しない運転者は多く
ありませんでした。
そのため、交通事故に遭ってもまともに損害を賠償してもらえない
被害者、いわゆる「泣き寝入り」をする被害者の数は増加の一途を
たどります。
最悪、家族を死亡させた加害者は、残された家族の生活保障は愚か
死亡した被害者の葬式代すら払えない経済状況であり、残された
家族はなす術もなく途方にくれるといった事例が多く発生しました。
政府は社会問題化した交通事故被害者救済のために、強制保険制度
(現在の自賠責保険)を作りました。
被害者保護の観点から生まれた保険ですので、補償は人的損害に
限定され(物損には不適用)、自賠責保険における傷害部分の限度
額は120万円、後遺障害部分3000万円(介護を必要とする後遺障害1級
は4000万円)、死亡3000万円となっています。
自賠責の場合、慰謝料の限度額は、傷害部分の120万円に制限されま
すが、傷害部分は通院交通費・治療費・入院雑費など全てを含みま
すので、治療費が120万円を超えれば慰謝料は0円ということです。
私は、常日頃からいつの時代の支払基準なのか、疑問に思っています。
そもそも、政府の事業として発足した強制保険制度ですが、平成14
年に制度が改正され、民間に委託した時点での累積運用益は1兆700
億円あり、現在も民間保険会社は運用益をあげています。
最近、自賠責保険料はわずかに引き下げられましたが、保険料を安
くするのであれば、保険料は据え置きもう少し時代にあった支払基
準に出来ないものかと赤鬼は考えます。
■ 自賠責保険と任意保険の関係
赤鬼は、自賠責保険と任意保険の関係をよくお話していますが、
未だに多くの方からこの関係が理解できていない故のご質問を頂き
ます。
交通事故の被害者になって怪我をした場合、必ず理解しておかなく
てはいけない最低限の知識ですので、確認の意味で再度お話します。
★ 何故任意保険に加入するのか?
自賠責保険は、先ほどお話しましたように、自動車を運行する際に
必ず加入していなくてはいけない保険です。
それに比べ、任意保険はその名のとおり自動車運行者が任意で加入
する保険になりますので、加入非加入はまちまちです。
車を運行する時に強制的に加入させられている自賠責保険があるの
だから、それ以外に保険に加入しても意味がないと、あなたは思っ
ていませんか?
では、何故任意保険が存在しそれに加入する自動車運行者がいるの
かというお話です。
任意保険に加入する理由を数値を使用しはっきり言えるようであれ
ば、あなたは交通事故損害賠償にかなりの知識がありますが、ただ
なんとなく事故を起こしたら心配だからという理由でご加入になっ
ていませんか。
赤鬼の父親も82歳だというのに、未だに現役で車を運転しています
が、母親に何故任意保険に入るのかと聞くと「事故を起こして人に
怪我をさせると、財産を皆持っていかれて大変なことになるから」
このように答えます。
かなり昔の状況がそのまま頭の中を支配していて、最近の現状とは
かみ合いませんが、それに近い理由から任意保険に加入しているこ
とは事実です。
そこで、この機会に自賠責保険と任意保険の関係を正しく理解して
いただければと思います。
(あくまでも加害者が任意保険に加入していることを前提とします)
自賠責保険と任意保険の関係ですので、先ほど自賠責保険ができた
理由の所でお話ししているように、自賠責は物損事故の補償はあり
ませんので、交通事故は人身事故に限られます。
人身事故が発生した場合、加害者は救急車や警察にすぐに連絡をす
ることになっていますが、加害者はさらに任意保険会社にも事故発
生の連絡をしなくてはなりません。
任意保険会社に事故発生をすぐに連絡する一番の大きな理由は、
任意保険会社のサービスの一環である「任意一括」の対応を開始し
なくてはいけないからです。
「任意一括」はあまり聞きなれない言葉ですが、ここに事故後最初
の自賠責保険と任意保険の関係が成立することになります。
どのようなことかといいますと、人身事故が発生し被害者が人身傷害
を負った場合、それに関わる治療費は最初自賠責保険から支払われます。
しかし、自賠責保険はその公共的性格上、事故現場や病院に来て世
話をしてくれる任意保険会社の担当者に当たる役割の人間は存在せ
ず、全ての保険金の請求手続きは加害者もしくは被害者がしなくて
はなりません。
これを、自賠責保険の「加害者請求」「被害者請求」といいますが、
詳しいことはブログ記事「加害者請求・被害者請求」を理解するを
http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-42.html
ご覧になって下さい。
しかし、自賠責保険に保険金を請求する知識のない加害者や被害者
では、病院の治療費の支払いにも困ってしまいます。
そこで、登場するのが任意保険会社による「任意一括」対応です。
本来は、加害者が治療費や通院交通費を一旦立て替えて支払い、
後に加害者請求により自賠責に保険金(治療費、通院交通費)を
請求することになっています。
しかし、それでは加害者の負担がおおきいため、加害者加入の任意
保険会社が顧客サービスの一環として加害者の業務を代行しています。
要するに、人身事故が起きると加害者加入の任意保険会社の担当者
が被害者の治療している病院に治療費を立て替えて支払い、後に
任意保険会社が加害者から委任状を取り付け、加害者に代わって
「加害者請求」を自賠責保険会社にして、任意保険会社が立て替え
たお金を回収す一連の行為を「任意一括」対応といいます。
ややっこしいようですが、ここが肝心ですので良くご理解下さい。
ですので、仮に加害者が任意保険に加入していない場合、被害者の
治療費や通院交通費は全て加害者が立て替えなくてはなりませんが、
最悪加害者に誠意がない場合は、被害者自身が全てを立て替えるこ
とになります。
何度も加害者に治療費や交通費を請求しても払ってくれない場合は、
先ほどご説明した「被害者請求」を自賠責にしなくてはなりません。
その際、一切加害者の同意が必要ない点だけが救いです。
話を、自賠責保険と任意保険の関係に戻しますが、自賠責保険で
支払われる保険金の人身傷害に対する限度額は120万円になります。
しかし、この120万円の人身傷害限度額には、治療費、通院交通費
はもちろんのこと傷害慰謝料(入通院慰謝料)休業損害まで含んで
いますので、怪我程度が比較的重い場合は限度額の120万円を簡単に
超えてしまいます。
その超えた部分を補償する役割が任意保険になります。
ですので、損害賠償額が120万円を超えない人身事故の場合、任意
保険会社の保険金支出は1円もありませんので、そこに任意保険会社
が保険金を払い渋れるカラクリが潜んでいます。
続きは次回です。
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
自賠責保険は、自動車を運行する場合に必ず加入しなくてはいけな
い強制的な保険ですが、案外その役割、任意保険との関係、補償内
容についてはあまり知られていません。
一方の任意保険については、加入される方への補償内容や免責事項
についての情報開示がきちんとなされていますので、比較的分りや
すい物になっています。
自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といい、普通
は「自賠責」と略されています。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(昭和三十年七月二十九日
法律第九十七号)によって定められている保険です。
自動車損害賠償保障法の目的は、第一章第一条に以下のように記さ
れています。
★ 自動車損害賠償保障法
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が
害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することによ
り、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資す
ることを目的とする。
さらに、自動車損害賠償責任保険については以下のように定められ
ています。
第三章 自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済
第一節 自動車損害賠償責任保険契約又は自動車損害賠償責任
共済契約の締結強制
(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)
第五条 自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害
賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償
責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されている
ものでなければ、運行の用に供してはならない。
■ 自賠責保険ができた理由
何故このような法律や制度ができたのか、その理由を簡単にお話し
ます。
戦後、日本の高度成長期における自動車台数の増加は凄まく、それ
に伴う交通事故件数も車の台数増加に比例して増え続けました。
しかし、当時は未だ自動車保険に加入するという考え方があまり
普及しておらず、自動車損害賠償保険に加入しない運転者は多く
ありませんでした。
そのため、交通事故に遭ってもまともに損害を賠償してもらえない
被害者、いわゆる「泣き寝入り」をする被害者の数は増加の一途を
たどります。
最悪、家族を死亡させた加害者は、残された家族の生活保障は愚か
死亡した被害者の葬式代すら払えない経済状況であり、残された
家族はなす術もなく途方にくれるといった事例が多く発生しました。
政府は社会問題化した交通事故被害者救済のために、強制保険制度
(現在の自賠責保険)を作りました。
被害者保護の観点から生まれた保険ですので、補償は人的損害に
限定され(物損には不適用)、自賠責保険における傷害部分の限度
額は120万円、後遺障害部分3000万円(介護を必要とする後遺障害1級
は4000万円)、死亡3000万円となっています。
自賠責の場合、慰謝料の限度額は、傷害部分の120万円に制限されま
すが、傷害部分は通院交通費・治療費・入院雑費など全てを含みま
すので、治療費が120万円を超えれば慰謝料は0円ということです。
私は、常日頃からいつの時代の支払基準なのか、疑問に思っています。
そもそも、政府の事業として発足した強制保険制度ですが、平成14
年に制度が改正され、民間に委託した時点での累積運用益は1兆700
億円あり、現在も民間保険会社は運用益をあげています。
最近、自賠責保険料はわずかに引き下げられましたが、保険料を安
くするのであれば、保険料は据え置きもう少し時代にあった支払基
準に出来ないものかと赤鬼は考えます。
■ 自賠責保険と任意保険の関係
赤鬼は、自賠責保険と任意保険の関係をよくお話していますが、
未だに多くの方からこの関係が理解できていない故のご質問を頂き
ます。
交通事故の被害者になって怪我をした場合、必ず理解しておかなく
てはいけない最低限の知識ですので、確認の意味で再度お話します。
★ 何故任意保険に加入するのか?
自賠責保険は、先ほどお話しましたように、自動車を運行する際に
必ず加入していなくてはいけない保険です。
それに比べ、任意保険はその名のとおり自動車運行者が任意で加入
する保険になりますので、加入非加入はまちまちです。
車を運行する時に強制的に加入させられている自賠責保険があるの
だから、それ以外に保険に加入しても意味がないと、あなたは思っ
ていませんか?
では、何故任意保険が存在しそれに加入する自動車運行者がいるの
かというお話です。
任意保険に加入する理由を数値を使用しはっきり言えるようであれ
ば、あなたは交通事故損害賠償にかなりの知識がありますが、ただ
なんとなく事故を起こしたら心配だからという理由でご加入になっ
ていませんか。
赤鬼の父親も82歳だというのに、未だに現役で車を運転しています
が、母親に何故任意保険に入るのかと聞くと「事故を起こして人に
怪我をさせると、財産を皆持っていかれて大変なことになるから」
このように答えます。
かなり昔の状況がそのまま頭の中を支配していて、最近の現状とは
かみ合いませんが、それに近い理由から任意保険に加入しているこ
とは事実です。
そこで、この機会に自賠責保険と任意保険の関係を正しく理解して
いただければと思います。
(あくまでも加害者が任意保険に加入していることを前提とします)
自賠責保険と任意保険の関係ですので、先ほど自賠責保険ができた
理由の所でお話ししているように、自賠責は物損事故の補償はあり
ませんので、交通事故は人身事故に限られます。
人身事故が発生した場合、加害者は救急車や警察にすぐに連絡をす
ることになっていますが、加害者はさらに任意保険会社にも事故発
生の連絡をしなくてはなりません。
任意保険会社に事故発生をすぐに連絡する一番の大きな理由は、
任意保険会社のサービスの一環である「任意一括」の対応を開始し
なくてはいけないからです。
「任意一括」はあまり聞きなれない言葉ですが、ここに事故後最初
の自賠責保険と任意保険の関係が成立することになります。
どのようなことかといいますと、人身事故が発生し被害者が人身傷害
を負った場合、それに関わる治療費は最初自賠責保険から支払われます。
しかし、自賠責保険はその公共的性格上、事故現場や病院に来て世
話をしてくれる任意保険会社の担当者に当たる役割の人間は存在せ
ず、全ての保険金の請求手続きは加害者もしくは被害者がしなくて
はなりません。
これを、自賠責保険の「加害者請求」「被害者請求」といいますが、
詳しいことはブログ記事「加害者請求・被害者請求」を理解するを
http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-42.html
ご覧になって下さい。
しかし、自賠責保険に保険金を請求する知識のない加害者や被害者
では、病院の治療費の支払いにも困ってしまいます。
そこで、登場するのが任意保険会社による「任意一括」対応です。
本来は、加害者が治療費や通院交通費を一旦立て替えて支払い、
後に加害者請求により自賠責に保険金(治療費、通院交通費)を
請求することになっています。
しかし、それでは加害者の負担がおおきいため、加害者加入の任意
保険会社が顧客サービスの一環として加害者の業務を代行しています。
要するに、人身事故が起きると加害者加入の任意保険会社の担当者
が被害者の治療している病院に治療費を立て替えて支払い、後に
任意保険会社が加害者から委任状を取り付け、加害者に代わって
「加害者請求」を自賠責保険会社にして、任意保険会社が立て替え
たお金を回収す一連の行為を「任意一括」対応といいます。
ややっこしいようですが、ここが肝心ですので良くご理解下さい。
ですので、仮に加害者が任意保険に加入していない場合、被害者の
治療費や通院交通費は全て加害者が立て替えなくてはなりませんが、
最悪加害者に誠意がない場合は、被害者自身が全てを立て替えるこ
とになります。
何度も加害者に治療費や交通費を請求しても払ってくれない場合は、
先ほどご説明した「被害者請求」を自賠責にしなくてはなりません。
その際、一切加害者の同意が必要ない点だけが救いです。
話を、自賠責保険と任意保険の関係に戻しますが、自賠責保険で
支払われる保険金の人身傷害に対する限度額は120万円になります。
しかし、この120万円の人身傷害限度額には、治療費、通院交通費
はもちろんのこと傷害慰謝料(入通院慰謝料)休業損害まで含んで
いますので、怪我程度が比較的重い場合は限度額の120万円を簡単に
超えてしまいます。
その超えた部分を補償する役割が任意保険になります。
ですので、損害賠償額が120万円を超えない人身事故の場合、任意
保険会社の保険金支出は1円もありませんので、そこに任意保険会社
が保険金を払い渋れるカラクリが潜んでいます。
続きは次回です。
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