2008年10月
2008年10月09日
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
「被害者感情で慰謝料が増額できるか?」という問題についてですが、
被害者感情とは別に慰謝料が増額できる場合の特例をお話します。
増額できるという表現が適切か分りませんが、他と区別され金額が
増える事例(地方裁判所支払い基準において)を挙げてみます。
■ 死亡慰謝料 における「一家の支柱」「母親・配偶者」
■ 「被害者が幼児を持つ母親」
■ 傷害の部位・程度に応ずる増額
■ 「生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り返し」
細かいものはまだありますが、分りやすいものをいくつか挙げて見
ました。
では、順番にお話していきます。
■ 死亡慰謝料 における「一家の支柱」「母親・配偶者」
これは、被害者が死亡した場合に遺族が受取る死亡慰謝料について、
死亡した被害者と遺族の関係によって慰謝料が異なることを意味し
ています。
何だか分り難い説明になってしまいましたが、死亡した被害者が
「一家の柱」すなわち遺族が主として被害者の収入によって生計
が維持されてた場合は慰謝料が増額される形になります。
赤い本を基準にお話していますが、死亡慰謝料は「一家の支柱」
「母親・配偶者」「その他」に区分されます。
具体的な金額は以下のとおりです。
「一家の支柱」 2800万円
「母親・配偶者」 2400万円
「その他」 2000~2200万円
「母親・配偶者」とは、一家の生計を支えているわけではありませ
んが、主婦として一家の家事労働をになっているため、一家の支柱
と同じく重要な存在ですので、「その他」より増額されています。
※ 配偶者という表現は、最近では主夫の存在が増えつつあること
を意識しての表現といえます。
「その他」は、一般的に独身の男女、職業を持たない68歳以上のお
年寄り、子供、幼児などを示しています。
■ 「被害者が幼児を持つ母親」
これは、赤い本における入・通院慰謝料についての算定基準の中に
ある「入院と同様に評価すべき場合」にあたります。
これは「被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事の都合などの被
害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には、
上記金額を増額することがある。なお、入院待機中の期間及びギプ
ス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間と見ることがあ
る。」と赤い本に記載があり、これらの事由により入院慰謝料が増
額される例です。
簡単にいってしまうと、被害者にが母親で幼児がいる場合は、幼児
が他の人になつかない場合や、細かい気遣いができないので、入院
して直すべき怪我でも我慢して早期に退院し自宅で療養を続けるこ
とです。
母親の顔を見ないと泣き止まない子を見かけますが、まさにこの事
例に当てはまります。
■ 傷害の部位・程度に応ずる増額
赤い本では、傷害が複数箇所におよびしかも重症の場合は「2~3割」
の慰謝料増額をするべきと解説しています。
具体的には、青い本の解説を見てみると「脳・脊髄の損傷や多数の
箇所に渡る骨折、内臓破裂を伴う傷害の場合は、通常生命の危険が
あることが多く、これらの症状の場合で絶対安静を必要とする期間
が比較的長く継続したとき、あるいは症状の回復が思わしくなく重
度の後遺障害が残り、あるいは長期にわたって苦痛の大きい状態が
継続したときなどは、特に症状が重いものとして上限の金額の二割
増程度まで基準額を増額しても良いと思われる。」としています。
これは、普通の場合に入・通院慰謝料の算定は入院日数と実通院日
数で決められてしまいますが、怪我が重傷で苦痛が多く自由を奪わ
れた期間が長い場合、慰謝料が単に日数だけで計算されたのでは、
被害者としては納得がいかないだろうということから、このような
場合は慰謝料の増額を主張するべきという考え方です。
■ 「生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り返し」
これについても、先ほどの「傷害の部位・程度に応ずる増額」と同
じ考え方になります。
被害者の身体に、生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り
返し等が加えられた場合、被害者はもちろん家族もかなりの精神的
苦痛を受けることになるので、慰謝料の増額がでくるという考えです。
他にも色々な理由から増額ができますので、社会通念上の妥当性が
あるようでしたら主張してみると良いでしょう。
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
「被害者感情で慰謝料が増額できるか?」という問題についてですが、
被害者感情とは別に慰謝料が増額できる場合の特例をお話します。
増額できるという表現が適切か分りませんが、他と区別され金額が
増える事例(地方裁判所支払い基準において)を挙げてみます。
■ 死亡慰謝料 における「一家の支柱」「母親・配偶者」
■ 「被害者が幼児を持つ母親」
■ 傷害の部位・程度に応ずる増額
■ 「生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り返し」
細かいものはまだありますが、分りやすいものをいくつか挙げて見
ました。
では、順番にお話していきます。
■ 死亡慰謝料 における「一家の支柱」「母親・配偶者」
これは、被害者が死亡した場合に遺族が受取る死亡慰謝料について、
死亡した被害者と遺族の関係によって慰謝料が異なることを意味し
ています。
何だか分り難い説明になってしまいましたが、死亡した被害者が
「一家の柱」すなわち遺族が主として被害者の収入によって生計
が維持されてた場合は慰謝料が増額される形になります。
赤い本を基準にお話していますが、死亡慰謝料は「一家の支柱」
「母親・配偶者」「その他」に区分されます。
具体的な金額は以下のとおりです。
「一家の支柱」 2800万円
「母親・配偶者」 2400万円
「その他」 2000~2200万円
「母親・配偶者」とは、一家の生計を支えているわけではありませ
んが、主婦として一家の家事労働をになっているため、一家の支柱
と同じく重要な存在ですので、「その他」より増額されています。
※ 配偶者という表現は、最近では主夫の存在が増えつつあること
を意識しての表現といえます。
「その他」は、一般的に独身の男女、職業を持たない68歳以上のお
年寄り、子供、幼児などを示しています。
■ 「被害者が幼児を持つ母親」
これは、赤い本における入・通院慰謝料についての算定基準の中に
ある「入院と同様に評価すべき場合」にあたります。
これは「被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事の都合などの被
害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には、
上記金額を増額することがある。なお、入院待機中の期間及びギプ
ス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間と見ることがあ
る。」と赤い本に記載があり、これらの事由により入院慰謝料が増
額される例です。
簡単にいってしまうと、被害者にが母親で幼児がいる場合は、幼児
が他の人になつかない場合や、細かい気遣いができないので、入院
して直すべき怪我でも我慢して早期に退院し自宅で療養を続けるこ
とです。
母親の顔を見ないと泣き止まない子を見かけますが、まさにこの事
例に当てはまります。
■ 傷害の部位・程度に応ずる増額
赤い本では、傷害が複数箇所におよびしかも重症の場合は「2~3割」
の慰謝料増額をするべきと解説しています。
具体的には、青い本の解説を見てみると「脳・脊髄の損傷や多数の
箇所に渡る骨折、内臓破裂を伴う傷害の場合は、通常生命の危険が
あることが多く、これらの症状の場合で絶対安静を必要とする期間
が比較的長く継続したとき、あるいは症状の回復が思わしくなく重
度の後遺障害が残り、あるいは長期にわたって苦痛の大きい状態が
継続したときなどは、特に症状が重いものとして上限の金額の二割
増程度まで基準額を増額しても良いと思われる。」としています。
これは、普通の場合に入・通院慰謝料の算定は入院日数と実通院日
数で決められてしまいますが、怪我が重傷で苦痛が多く自由を奪わ
れた期間が長い場合、慰謝料が単に日数だけで計算されたのでは、
被害者としては納得がいかないだろうということから、このような
場合は慰謝料の増額を主張するべきという考え方です。
■ 「生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り返し」
これについても、先ほどの「傷害の部位・程度に応ずる増額」と同
じ考え方になります。
被害者の身体に、生死が危ぶまれる状態、極度の苦痛、手術の繰り
返し等が加えられた場合、被害者はもちろん家族もかなりの精神的
苦痛を受けることになるので、慰謝料の増額がでくるという考えです。
他にも色々な理由から増額ができますので、社会通念上の妥当性が
あるようでしたら主張してみると良いでしょう。
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
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2008年10月03日
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」
「所得補償保険の罠!」
★ 被害者が自分に休業損害を支払う!?
問題:Aさんは交通事故で大怪我をしてしまい長期間会社を休みま
したが、幸い所得保障保険に入っていましたので、生活に困
ることはなく、示談を迎えることになりました。
示談の際、普通に休業損害を請求しましたが、保険会社は
Aさんが所得補償保険から保険をもらっているので、休業
損害は発生していないとして支払いを拒否しました。
Aさんは「所得補償保険は自分が高額の掛け金を払って加入
していたものだから関係ないし、それでは事故の被害者自身
が加害者に受けた不法行為のために発生した休業損害を支払
うのことになり不条理である」として、加害者加入の保険会
社に対し休業損害を支払うよう訴訟を提起しました。
果たして、Aさんは休業損害を支払ってもらえるでしょうか?
------------------------------------------------------------
正解: なんと、答えはNOです!
この案件は大変難しい問題ですので、最高裁まで上告され争われる
ことになりました。
最高裁の下した判断は、加害者側が主張した「同一事故で二重に休
業補償を受けることは不当である」という主張を認める形になりま
した。
もう少し詳しくお話しすると、所得補償保険は生命保険等とは異な
り、損害賠償保険の一種とみなされるため、所得保障を支払った保
険会社は、「保険会社が被保険者に休業補償を支払った限度で、
被害者が加害者に対して有する休業損害の賠償請求権を取得し、
同時に被害者は加害者に対する損害賠償請求権を失う」としています。
これは商法662条1項によるものですが、簡単にいってしまうとAさん
がかけていた保険は、交通事故に限らず一般的な事故で働けなくなっ
た時のための保険で、実際に被った被害に対して保険金が支払われる
ため、損害賠償保険になるということです。
その場合、損害賠償の請求は不法行為を働いた加害者がいる場合は、
加害者に請求することになります。
損害賠償では、同一の損害に対して二重に請求することができませ
んし、損害賠償を受けた場合にはその請求権は保険会社に移るとい
うことです。
この場合は、所得補償を支払った保険会社はAさんから休業損害賠
償の請求権を譲渡されたことと同じになり、譲渡を受けた保険会社
は加害者加入の保険会社に対して請求権を行使します。
交通事故被害者になったにもかかわらず、自腹で加入していた保険
会社から休業損害を受け取り、その会社が加害者の加入する保険会
社にその保険金を請求する?
何とも納得のできない状況ですが、所得補償保険は他の保険とは別
に支払われるような錯覚を起こさせる売り方をしているところにも、
問題があります。
こんなこともありますので、保険に加入する時は「よ~く考えよ~
お金は大事だよ~」ということでした。
事故解決はマニュアル選びが重要! 「交通事故マニュアル比較ナビ」